4年間の意義

 4年 土平遼です。
 決定戦のピッチにファーストジャージを着てプレーした80分は、かけがえのないものでした。この濃い時間を過ごせたことは、山本TC、OBの皆様のご支援、支えてくれたスタッフ、同じ時間を過ごした仲間のおかげだと実感しています。ありがとうございました。
 敗戦でした。もちろん悔しいです。格上相手だということはわかっていましたが、気持ちの面では絶対に勝つと思っていました。私はチームに復帰したのが夏休み明けですが、限られた時間の中でラグビーに集中し、自分なりに準備もしました。去年は不在でしたが3年前、2年前と、ピッチに立った身として十分に活躍できなかった悔しさと、先輩方の流してきた涙を取り戻すと強く意識していました。
 そんな重苦しい気持ちをもちながらも、試合中は今までにないほど幸せでした。ラグビーをしていたのはこのためか、と思うほど幸せな時間でした。起集会時に「お前らラグビーを、楽しいからしているんだろう」と鈴木OB会長がおっしゃった言葉をかみしめていました。ラグビーをしたくないと思うときはたくさんありました。なんで安易な気持ちで始めたのだろうと思うこともありました。周りから受けるプレッシャーが段々と大きくなる中、自分がラグビー部とどう向き合うかが問われていると感じる時期もありました。吐き気がするほど湧いてきた色々な感情をすべて飲み込んで、ラグビーをやりきると決めました。今シーズンは天理遠征も朝日遠征もしっかりとやられましたが、失うものは何もないと思いっきり望むことができました。そのせいか、決定戦は意識しなくとも血が上るぐらいプレーできました。この一試合だけは、まるで僕のわがままが通ったような気分でした。本当に楽しい。そう思いながらプレーした試合は、実はこれが初めてでした。ラグビー人生の最後をかけた試合にこんな晴れ舞台を用意してくれるのかと、喜びを感じていました。
 最初に挙げた悔しさの中には、おそらく寂しさのような気持ちも含まれていたと思います。負けたとき、同期と後輩たちとはもうラグビーをすることができないのかと思いました。特に同期の築館とは同じ芝を踏んで終わりたかった。そのためにも勝ちたいと感じていました。彼は自身がプレーする機会があるかどうかの厳しい状況の中で、これまでの試合で私を個人的に応援し続けてくれました。確実にモチベーションになりました。また、後輩はとてもたくましく、同期を凌駕するほどの熱意を持って戦ってくれました。来年、勝ってくれると期待したいです。
 人生の中でこれほどの時間をかけて、何か一つのことに精神的にも肉体的にも没頭するという経験はとても有意義でした。まだまだ旅は長いと思っておりますが、この試合で自分の全てを出して本気で戦えたことは、これからの人生の自信につながると感じています。金沢大学ラグビー部に所属して幸せでした。大変お世話になりました。ありがとうございました。土平遼(4年・WTB)

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