2年間のモール改革

 昨年に引き続き,東海・北陸代表決定戦において金大FWsのトライゲットはモール起点でした。我々は東海のチームと比較して確実に身体に恵まれていません。にもかかわらずモールを武器にするに至るにはかなりの労力がかかりました。ここでは僕の担当分野であったモールについて少し書こうと思います。
 一昨年度まで,FWsのモールは武器とは言い難い出来でした。理由としては身体が足りないため,東海相手にトライを取れるとは思っていなかったという事です。また,全員のスキルや経験もなく,ゴール前でとりあえず組むが,壊れたり,押し込まれたりすることが多かったと記憶しています。
 ではなぜ昨年度から熱心に取り組み始めたのかというと,率直に言って他のアタックでトライを取れる可能性が低かったからです。しかし,一朝一夕に身に着くスキルではない事であり,場数が圧倒的に足りない状況で押せるモールを作るのは困難を極め,押すことはあきらめました(笑)代わりにズラす技術を導入しました。元になったのは僕の母校である高崎高校のモール分裂システムである「派生」。核を何度も変えて圧力のない方へ分裂を繰り返すシステムでした。しかしこれにも課題があり,派生するごとに2,3人モールから離れなければなりません。繰り返しすぎると押す人がいなくなってしまう諸刃の剣でした。派生した後誰がどこに移動するのか,どういった押し方をするのか,させるのかだけを徹底的に刷り込んだ結果が昨年の代表決定戦での2本のトライでした。
 そして本年度,引き続きモールを武器にしたいということで新たな技術を早い段階からいくつか導入しました。昨年度のモールはズラし,悪く言えば逃げのモール。正面から突破するにはどうしたらいいのか,今年から導入したのは2枚核とロックバインド。この2つが僕らのモールの押しを強めるキーポイントとなりました。あまり書くと対策されてしまうので簡潔に書きますが,ロックバインドは2列目からの押しを強化し,2枚核は押しを集める事につながりました。単純に押してもやはり体重と強さで押し負けるという事で,とにかく押しを集めてそこからDFを切り裂く。通称「鏃」(僕が言っているだけかも)モールを尖らせるという表現を多く使いました。
 しかし構想はあるもののなかなか形にはならず,頭角を現したのは10月も後半の天理大学との練習試合でした。押しを集めた鏃の先端は僕の尻。明確にそこからDFが割れる感覚を感じ,モール全体がそこを突破口として前進する感覚をFWs全員が覚えました。代表決定戦ではなかなかモールの機会が作れなかった部分が反省としてあります。ラックからのリモールも用意していたにも関わらず使わずじまいでした。来年度もまだまだ改善の余地があると思っています。後輩たちにはさらに磨きをかけていってほしい所存です。
大塚裕斗(4年・PR)

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